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地震の恐怖と、今回の教訓
まずは一言、現地の被災者には心からお見舞い申し上げます。



そのとき、自分はクリーンルームというところで半導体検査装置のテストをしていた。
この半導体検査装置、でかさ的には2段ベッドをすべて金属製にして、中身もぎっしり詰まってるようなもんなんだよね。

クリーンルームには他に作業している人もいた。
最初は大したことない揺れだと思っていたけど、一瞬ごとに揺れが大きくなるのがわかった。
この装置のそばにいるのはまずいと、頭でなくて体が反応して離れる。
隣の装置を触ってる人と目が合う。

「デカい!逃げろ!!速く出ろ!!!」

最初に言ったのは間違いなく俺じゃない。目が合った人でもない。
その声で体が動き、俺の、みんなの声が出る。「速く、逃げろ!!」

クリーンルームに入るには、クリーンウェアというのを着る必要がある。
もちろんクリーンルームから出るときはクリーンウェアを脱ぐ必要がある。
律儀にクリーンウェアを脱いで逃げる人はいなかった。当たり前だけど。

建屋の外に出た人たちがケータイ片手に電話をかけはじめる。当たり前だけど繋がらない。
「こーいうとき電話はつながらないから、メールの方が確実ですよ」とアドバイスしたら皆メールに切り替えた。
・・・いや、マジで、今回に限らず結構な規模の地震は過去にもあったはずで、
電話はつながらずメールが連絡取りやすいってのは何度も言われてたことだと思うんだけど、こんなに意識が薄いのか・・・。

会社の人たちは全員屋外に避難し、建物の安全確認をした後に、荷物を取るために10分だけ入ることが許され、
荷物を取った後は各自解散になった。
ただし、首都圏の交通機関は全部ストップしているという但し書きつき。
この時点で16:15。
職場から家まで比較的近いとはいえ、歩くと2時間くらいかなあという漠然とした試算。
さっきGoogle Mapで見たら1時間半だったけどさ、機械的には歩けないしねえ。

歩き始めて2~3分、さっきの情報「首都圏の交通機関は全部ストップ」は何だったんだという光景が。
国際興業バス(この地域を走ってる路線バス)走ってるやんフツーに。
バスに乗って行けるところまで。
降りた某駅で、確かにJRは止まってるし地下鉄もアウト。タクシーは全く来なくて長蛇の列。
ただ、都電が走ってんのはなんでだ!?
後で調べたら、この時点で動いてた公共交通機関は都電と多摩モノレールだけだったということらしいけどさ。
ともかく、家まで徒歩一分のところまで都電が動いてるのはありがたかった。
こうして、日没前に家にたどり着くという、日没後に首都圏で繰り広げられた光景からすると気持ち悪いくらいスムースに帰宅できた。



多少不謹慎を承知で。
今回の地震、特に首都圏の社会人にとってはいい教訓になったんじゃないかと思っている。
「自宅以外で何らかの大規模な災害に遭って、公共交通機関が全部ストップした」
この事象は避難訓練とかでよく語られがちな想像上の出来事なんかじゃなく、実際に起きる事なんだ、と。
そのときにどう行動すればいいのか体感できたわけだから。
実は下手に歩いて帰ろうとするより会社にいた方がいいとか、
徒歩で帰った人も、どこにどんな施設があったか、ポイントとなる場所はどこか・・・などとという経験は貴重な物になったはず。
次、いつこーいう事態が来るかはわからないけど、その時に役に立ててこそだと思う。

あとは、Twitterをはじめとするコミュニケーションツールの善し悪しだなあ。
善意と思ってあらゆる情報をRTしまくる事象を見て、過去の大規模災害から学んでない人も多いんだなあと思った。
現地の人たちは「迅速な情報」じゃなくて「正しい情報」が欲しいのよ。それが迅速であればなおいい、という話で。
下手に手を突っ込むくらいなら黙って見てる方がむしろ善意、ということもあるよ。
by zilzal999 | 2011-03-12 21:19 | 日記のようなもの
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